
検査室
概要
臨床検査は血液や尿、細胞など患者さんから採取した検体を調べる「検体検査」と心電図、超音波検査、脳波など患者さんの体を直接調べる「生理機能検査」の二つに分かれます。
これらの検査から得られるデータを医師に提供しているのが私たち「臨床検査技師」です。当院検査室には37名の臨床検査技師検査(非常勤を含む)が在籍しており、体の状態を客観的に把握するために重要な情報となる検査データを提供しています。
「検体検査」は夜間休日を含む24時間対応することが地域医療の最前線に立つ病院の使命であると考え、最新の分析装置を導入し診療科の依頼に応じた多くの検査項目を迅速に測定できる体制を整えております。また外来患者さんの多くが受ける「診察前採血」には採血室10ブースで対応し円滑な検査データの提供を行っております。
一方、患者さんの体を直接調べる「生理機能検査」では患者さんに寄り添う丁寧なコミュニケーションを心掛け安心して検査を受けてもらえるようわかりやすい説明を行っております。
日々進化する医療の中で臨床検査も常にあたらしい知見や技術への対応が求められます。当院検査室ではスタッフ一人一人が専門性を磨きつつ、質の高い診療に貢献できるよう正確で信頼性の高い検査データの提供に努めてまいります。

検体検査
血液検査
赤血球、白血球、血小板などの数や機能を測定したり、血液細胞を顕微鏡で観察することで形態異常がないか調べています。貧血や白血病などの血液疾患の鑑別や治療薬効果の判定材料になっています。
生化学検査
体内に含まれる蛋白質や酵素などの濃度を調べる事により病気の診断や治療に役立てる検査です。また、血中薬物濃度や腫瘍マーカーの検査も行っており、治療計画やがんの診断に用いられています。
遺伝子検査
新型コロナウイルス感染症に対し2020年12月よりPCR検査を開始しました。当初は外注検査との併用での対応でしたが、2021年4月にロシュ社 全自動遺伝子検査装置Cobas-6800が導入され全ての検査を院内で実施しています。現在では、一日最大180件可能となり、一月当たり2、500件程度の検査を実施しています。

尿一般検査
尿中に糖や蛋白が出ていないか、血液が混じっていないかを試験紙で調べ、さらに尿中成分を集めて顕微鏡で細かく観察しています。糖尿病や腎機能の評価に用いています。他に髄液、便、穿刺液、精液検査を行っています。

感染症検査
当院では梅毒検査、B型肝炎およびC型肝炎ウイルス、HIVウイルス検査を実施しています。
細菌検査
患者さんから採取した尿や血液、痰など全ての検体から感染症の原因となる細菌の有無や細菌の種類の同定などを調べる検査です。
病理検査
患者さんから採取した組織や細胞などを対象に顕微鏡標本を作製し、病気(疾患)の診断や原因の究明を行います。当病理検査は大きく分けて病理組織検査、細胞診検査、病理解剖があります。
生理検査室
心電図・血圧脈波検査
心電図とは、心臓全体の電気的活動の興奮過程を波形にしたものです。
ベッドに寝て安静にした状態で記録する安静時心電図、長時間記録することで不整脈の検出を行うホルター心電図、労作性狭心症などを評価するために行う運動負荷心電図があります。
血圧脈波検査とは、四肢の血圧と心臓から押し出された血液により生じた拍動の伝わる速度(脈波)を測定する検査です。血管の硬さや詰まりを推定し、動脈硬化の評価を行います。

呼吸機能検査
息を大きく吸ったり吐いたりすることで、肺活量や肺の拡張・閉塞など様々な肺の状態を調べる検査です。

聴力検査
難聴の程度や種類を調べるための検査です。
鼓膜の動きや言葉の聞こえ方を調べることもあります。

脳波検査
脳波とは、脳神経細胞が出すわずかな電流をとらえて波形にしたものです。
頭皮に電極を装着し、覚醒している状態や睡眠時・様々な刺激に対する反応を記録します。
外来採血
生化学検査、血液検査などに用いる血液を採取します。他に尿、ピロリ菌検査案内や糖負荷による採血も行っています。当院では採血の順番を診察予約順に振り分けております。

1番~ | 予約時間が 8:30~9:00の方 |
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1000番代 | 予約時間が 9:00~10:00の方 |
2000番代 | 予約時間が 10:00~12:00の方 |
3000番代 | 予約時間が 12:00以降の方 |
4000番代 | 検査のみ、当日採血依頼 |
9000番代 | 診察または検査予約が無い、採血オーダーなし |
品質保証
当検査室は「品質保証施設認証施設」として認証されています。
この制度は「精度管理事業および標準化事業に積極的に参加し、施設内の検査データが標準化に基づいたものであること、かつ精度が是正・改善を通じて十分保証されていると評価できる施設」に対して日本臨床衛生検査技師会、公益社団法人日本臨床検査標準化協議会の共同で認証されます。当検査室では2年ごとに審査を受け9部門の認証を更新しています。
採用者向け
保有資格状況(2025年6月現在)
-
- 細胞検査士(JSCC)
- 細胞検査士(IAC)
- 認定医療技術部門管理資格
- 認定臨床化学免疫化学
精度保証管理検査技師 - 認定輸血検査技師
- 認定血液検査技師
- 認定病理検査技師
- 認定一般検査技師
- 認定心電検査技師
- 認定心電図専門士
- 認定超音波検査士(循環器領域)
- 認定超音波検査士(体表臓器領域)
- 認定POCコーディネーター
- POCT測定認定士
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- 遺伝子分析科学認定士(初級)
- 緊急検査士
- 二級臨床検査士 免疫血清学
- 二級臨床検査士 血液学
- 二級臨床検査士 微生物学
- 二級臨床検査士 病理学
- 二級臨床検査士 循環生理学
- 衛生工学衛生管理者
- 医療安全管理者
- 毒物劇物取扱者
- 有機溶剤作業主任者
- 特定化学物質及び
四アルキル鉛等作業主任者 - 医用質量分析測定士
- 静岡県肝炎医療コーディネーター
- 臨床検査技師臨地実習指導者
- 厚生労働大臣指定タスクシフト講習会終了 26名(対象者29名)
検査実績
月の平均検査件数 | 2023年度 | 2024年度 |
---|---|---|
採血室 | 10,539 | 11,073 |
生化学検査 | 284,959 | 298,302 |
免疫学検査 | 46,249 | 49,247 |
一般検査 | 13,854 | 14,954 |
血液凝固検査 | 52,922 | 56,248 |
輸血関連検査 | 2,965 | 3,057 |
細菌検査 | 6,039 | 6,411 |
病理検査 | 1,308 | 1,342 |
生理機能検査 | 4,853 | 4,837 |