診療科眼科

Ophthalmology

  • 概要

    当院は静岡県東部における基幹病院として地域の医療を支えております。当院眼科は1986年4月の開設以来、外来および手術件数が年々増加し続けており、眼科領域のあらゆる領域の治療を目指しております。2022年には年間のべ外来人数は36000人超、年間手術件数も初めて4000件を超えました。

  • 最近の年別外来人数の推移

  • 最近の年別手術件数の推移

2023年度手術実績

  • 外眼手術 158件
  • 角膜移植術 20件
  • 白内障手術 1728件
  • 緑内障手術 164件
  • 網膜・硝子体手術 633件
  • 硝子体注射 1353件

当科開設35年目となる2021年10月には、同年7月の新棟完成に伴う外来移転を機に、外来診察室が4室から5室に増え、検査や処置スペースも拡大されました。続いて眼科手術室も移転し、前室1室、局所麻酔用2室、全身麻酔用1室の計4室となり、専用手術室を用いて毎日手術を行っております。手術は、近年ますます低侵襲化している白内障手術や緑内障手術、網膜・硝子体手術をはじめ、角膜移植、翼状片など前眼部手術、眼瞼下垂や眼瞼内反症などの外眼手術にも力を入れています。その他、結膜炎・角膜混濁などの前眼部疾患から、加齢黄斑変性、糖尿病網膜症・網膜剥離などの眼底疾患、斜視・弱視などをはじめとする小児眼科疾患、涙道疾患等、あらゆる眼疾患に対応できるよう、一般外来のほかに専門外来を設けて外来診療を行ない、最近の知見をもとに、全国トップレベルの眼科診療を推進しています。

  • 新しくなった眼科外来待合室

  • 眼科外来検査室

  • 眼科外来診察室

  • 眼科専用手術室

  • 顕微鏡手術

  • ヘッズアップサージェリー

対象疾患

アレルギー性結膜炎・白内障・緑内障などの前眼部疾患から、糖尿病網膜症・網膜剥離などの眼底疾患、斜視・弱視などの小児眼科、治療用コンタクトレンズ、あらゆる眼疾患に対応できるよう、一般外来のほかに専門外来を設けて、外来診療を行なっています。

1.眼瞼疾患

  • まぶたが痛い、赤く腫れる

2.結膜・強膜疾患

  • 白目が赤くなり、めやにが出る
  • 痒みがある
  • 異物感がある

3.角膜疾患

  • 目が痛い、あるいは異物感がある
  • まぶしく、涙が出る

4.緑内障

  • 目が痛い
  • 頭痛や吐き気がある
  • 目がかすむ、みえにくい
  • 目の中に虹がみえる
  • 視野が狭くなる

5.白内障

  • 目がかすむ、みえにくい
  • 明るいところでまぶしい

6.眼底疾患

  • 目がみえにくい、あるいはみえないところがある
  • 物が小さく、ゆがんでみえる
  • 眼前にちらちらするものがある
  • 目の中に光ったものがみえる

7.涙器疾患

  • 目が乾きやすい
  • 涙がたまりやすい
  • 目が疲れやすい

8.斜視

  • 物が二つに見える
  • 視線が一致しない

9.色覚異常

  • 色の区別がつかない

10.夜盲

  • 夜になると目が見えない

11.屈折異常

  • 近視、遠視、乱視、老視のために、目がみえにくい
  • 目が疲れやすい

特色

白内障手術

白内障手術は、最近注目を集めている多焦点眼内レンズ(遠方、近方ともに大部分の患者さんで眼鏡なしでピント合わせ可能)やトーリック眼内レンズ(乱視用)が対応可能です。また、当科がわが国でその発展に寄与した眼内レンズ強膜内固定術は、かつて白内障手術が行われた際に眼内レンズが入らなかった方や、眼内レンズに偏位や落下が生じた方を対象に積極的に行っており、視機能を再び向上させるのに貢献しております。近年は更に、白内障と緑内障の併発患者を対象に、後述する低侵襲緑内障手術(micro invasive gulaucoma surgery ,MIGS)との併用手術にも力を入れています。

緑内障手術

隔週火曜日の午後に緑内障外来を行っております。手術適応の方に対しては、従来から行われている線維柱帯切除術の他、近年急速に進化しつつあるチューブシャント手術やMIGSと呼ばれる各種低侵襲緑内障手術も導入、複数の術式の中から疾患の種類や程度、状況に応じて適切と考えられる術式をご提案し、選択して頂いております。

網膜・硝子体手術

網膜・硝子体手術は年間約600件以上と、県内最多の手術件数を行っております。網膜剥離、黄斑円孔、黄斑前膜、網膜静脈閉塞症や重症な増殖糖尿病網膜症など、種々の眼底疾患の治療を幅広く行っています。2023年からは最新鋭のヘッズアップサージェリーシステムを導入しております。ヘッズアップサージェリーは、顕微鏡をのぞかず顔を上げて目の前の大きなモニターを見ながら行う最新鋭の手術法です。メリットとしては、低光量で手術を行うので、患者さんの網膜光障害のリスクを軽減する可能性がある点、術者の姿勢による首や腰のダメージを軽減する点、手術室内外のスタッフ全員が同じ映像を見るためにコミュニケーションが向上する点などが挙げられます。

角膜移植

2001年4月より浜松医大、静岡県立総合病院と並んで、静岡県アイバンクの3大拠点病院の一つとして、静岡県東部地区において重要な役割を担っています。角膜移植術は、希望者が他県からも来院し、年間約30件以上行っています。水疱性角膜症に対しては、2010年年5月に角膜内皮移植術(DSAEK)を県内で最初に導入しております。2022年からは、世界で初めて発売された難治性の角膜輪部幹細胞疲弊症に対する自家口腔粘膜培養細胞シート移植術を、認可および保険適応後に国内で最初に導入しております。

加齢黄斑変性、糖尿病黄斑症等に対する硝子体注入治療

近年増加しつつある加齢黄斑変性や糖尿病黄斑症に対しては、蛍光眼底造影(フルオレセインやインドシアニングリーン)、光干渉断層計(OCT)などの最新検査機器を用いて診断を行い、適応であれば抗VEGF硝子体注入療法を行っています。抗VEGF療法は最近注目を集めている新しい治療法で、2009年にルセンティス、2012年にアイリーア、2020年にベオビュー、2022年にバビーズモが認可されました。当科ではこれらの抗VEGF抗体薬を採用しており、導入期には毎月1回計3回、それ以降は病状に応じて硝子体内投与することにより、視力の改善が期待されます。

外眼部手術

眼瞼下垂や眼瞼内反症などの外眼手術においては、炭酸ガスレーザーを用いることにより、術中の出血や術後の腫れの減少、手術時間の短縮につなげています。

涙道内視鏡

流涙症のうち、涙道狭窄や鼻涙管閉塞が疑われる方に対しては、杉田丈夫医師が涙道内視鏡による検査と治療を行っております。涙道内視鏡によって涙道内の狭窄部位を確認し、閉塞箇所を穿破できる場合はそのまま治療を行います。

小児眼科

子供の視力の発育は8~10歳までで停止すると言われています。遠視や乱視をはじめとする屈折異常や斜視などによって弱視を生じている乳幼児の治療には、早期発見による早期からの治療開始が重要です。当科ではこうした患児を対象とした小児眼科外来を設置しております。

その他

急性緑内障発作、網膜剥離、外傷など特に緊急性を要する眼疾患を有する患者さんに対しても、積極的に受け入れる体制を整えています。

外来担当医表

急な都合により、情報を掲載できない場合がございますので、予めご了承下さい。
詳細は各科外来へお問い合わせ下さい。

教授
先任准教授
准教授
講師
赤字
女性医師
午前
1診

太田 俊彦

(角膜・白内障・緑内障・網膜硝子体)

土至田 宏

(一般・角膜・白内障)

平井 麻紀

(一般)

土至田 宏

(一般・角膜・白内障)

太田 俊彦

(角膜・白内障・緑内障・網膜硝子体)

【第1】小森 

(一般)

【第3】市川 浩平

(一般)

【第4】平井 麻紀

(一般)

【第5】交代制

2診

杉田 丈夫

(一般)

(9:00診察開始)

廣澤 邦彦

(一般)

(9:00診察開始)

杉田 丈夫

(一般)

(9:00診察開始)

小森 翼

(一般・緑内障)

(9:00診察開始)

平井 麻紀

(一般)

【第1】廣澤 邦彦

(一般)

【第3】菊池 遥太

(一般)

【第4】杉田 丈夫

(一般)

【第5】交代制

3診

市川 浩平

(一般)

菊池 遥太

(一般)

(9:00診察開始)

菊池 遥太

(一般)

(9:00診察開始)

廣澤 邦彦

(一般)

(9:00診察開始)

市川 浩平

(一般)

第1】尾原 祐樹

(一般)

【第3】堤 和佳子

(一般)

【第4】渡部 史郎

(一般)

【第5】交代制

5診

廣澤 邦彦

(一般)

(9:00診察開始)

笠原 知人

(一般)

(9:00診察開始)

渡部 史郎

(一般)

(9:00診察開始)

尾原 祐樹

(一般)

(9:00診察開始)

小森 翼

(一般)

(9:00診察開始)

6診

尾原 祐樹

(一般)

(9:00診察開始)

堤 和佳子

(一般)

(9:00診察開始)

午後
1診

土至田 宏

(角膜)

(14:30診察開始)

土至田 宏

(一般・角膜・白内障)

土至田 宏

(一般・角膜・白内障)

2診

杉田 丈夫

(一般)

平井 麻紀

(一般・小児眼科)

杉田 丈夫

(一般)

小森 翼

(一般)

平井 麻紀

(一般)

 

3診

市川 浩平

(一般)

緑内障外来(13:00診察開始)

菊池 遥太

(一般)

(14:00診察開始)

廣澤 邦彦

(一般)

市川 浩平

(一般)

5診

尾原 祐樹

(一般)

菊池 遥太

(一般)

渡部 史郎

(一般)

尾原 祐樹

(一般)

小森 翼

(一般)

6診

笠原 知人

(一般)

堤 和佳子

(一般)

堤 和佳子

(一般)

休診・代診

2024年10月23日(水) 午前(5診) 渡部→外来医師
2024年10月24日(木) 午後(6診) 渡部→外来医師
  • 急な都合により、情報を掲載できない場合がございますので、予めご了承下さい。
    外来担当医・休診情報の詳細は各科外来へお問い合わせ下さい。
    代表:055-948-3111

医師紹介

特任教授

太田 俊彦おおた としひこ

出身大学
東京医科大学卒(1983年)

認定医・専門医など

  • 日本眼科学会専門医・指導医
  • 静岡県眼科医会副会長
  • 日本眼科手術学会理事
  • 日本白内障屈折矯正手術学会理事
  • がん診療に携わる医師に対する緩和ケア研修会修了

専門分野

  • 角膜疾患の診断と治療
  • 白内障手術
  • 網膜、硝子体疾患の診断と治療

としだ ひろし

土至田 宏

職位
先任准教授
出身大学
聖マリアンナ医科大学卒(1992年)

認定医・専門医など

  • 日本眼科学会専門医・指導医
  • 日本再生医療学会再生医療認定医・代議員
  • 静岡県アイバンク常務理事
  • 日本コンタクトレンズ学会常任理事
  • 日本眼薬理学会評議員
  • がん診療に携わる医師に対する緩和ケア研修会修了

専門分野

  • 角膜移植術
  • 白内障手術
  • 前眼部疾患の診断と治療
  • 眼感染症

ひらい あさき

平井 麻紀

職位
助教
出身大学
川崎医科大学卒(1998年)

認定医・専門医など

  • 日本眼科学会専門医
  • がん診療に携わる医師に対する緩和ケア研修会修了

専門分野

  • 眼瞼、網膜、硝子体疾患、小児眼科

すぎた じょうぶ

杉田 丈夫

職位
助教
出身大学
金沢医科大学卒(2009年)

認定医・専門医など

  • 日本眼科学会専門医

専門分野

  • 眼科一般

いちかわ こうへい

市川 浩平

職位
助手
出身大学
順天堂大学卒(2012年)

認定医・専門医など

  • 日本眼科学会専門医
  • がん診療に携わる医師に対する緩和ケア研修会修了

専門分野

  • 眼科一般
  • 網膜、硝子体手術

こもり つばさ

小森 翼

職位
助手
出身大学
岩手医科大学卒(2015年)

認定医・専門医など

  • 日本眼科学会専門医
  • がん診療に携わる医師に対する緩和ケア研修会修了
  • A型ボツリヌス毒素製剤ボトックス講習・実技セミナー終了

専門分野

  • 眼科学一般

ひろさわ くにひこ

廣澤 邦彦

職位
助手
出身大学
順天堂大学卒(2014年)

認定医・専門医など

  • 日本眼科学会専門医
  • がん診療に携わる医師に対する緩和ケア研修会修了

きくち ようた

菊池 遥太

職位
助手
出身大学
順天堂大学卒(2019年)

認定医・専門医など

  • がん診療に携わる医師に対する緩和ケア研修会修了

おはら ゆうき

尾原 祐樹

職位
助手
出身大学
順天堂大学卒(2019年)

認定医・専門医など

  • がん診療に携わる医師に対する緩和ケア研修会修了

わたなべ しろう

渡部 史郎

職位
助手
出身大学
昭和大学卒(2021年)

つつみ わかこ

堤 和佳子

職位
助手
出身大学
宮崎大学卒(2022年)

診療実績

研究

治験

受賞

第5回インド眼内レンズ学会(IIRSI Chennai2024)でゴールドメダルを授与

太田俊彦教授が2024年1月にインドのアムリトサルで開催された第5回インド眼内レンズ学会ウィンターカンファレンス(IIRSI Channai2024)でゴールドメダルを授与されました。

2023年度米国眼科学会(AAO)でベストポスター賞受賞!

菊池遥太医師は2023年11月に米国サンフランシスコで開催された世界で最も権威ある米国眼科学会(AAO)でベストポスター賞を受賞しました。

第42回日本眼科手術学会学術総会の総会長に!

太田俊彦教授が2019年2月に横浜市(パシフィコ横浜)で開催された第42回日本眼科手術学会学術総会で総会長をつとめました。

2018年度米国眼科学会(AAO)で再度ベストポスター賞受賞!

市川浩平医師は2018年10月に米国シカゴで開催された世界で最も権威ある米国眼科学会(AAO)で再度ベストポスター賞を受賞しました。

2017年度米国眼科学会(AAO)でベストポスター賞受賞!

市川浩平医師は2017年11月に米国ニューオリンズで開催された世界で最も権威ある米国眼科学会(AAO)でベストポスター賞を受賞しました。

2016年度米国白内障屈折矯正手術学会(ASCRS)で3度目の受賞!

米国白内障屈折矯正手術学会(ASCRS)が本年5月6日より10日まで米国ニューオリンズで開催されました。
本学会は世界的に権威ある眼科学会の一つであり、世界中から眼科医が集まり最新の治療法などについて活発な議論が行われます。

2012年度の本学会においては、太田俊彦教授が白内障手術における新しい眼内レンズの固定方法を発表して「新術式賞」を受賞し、2014年度は松崎有修助手が、外傷により従来の方法では治療困難な眼に対する新しい治療法を発表して再び「新術式賞」を受賞しました。
さらに今年度は太田俊彦教授が、白内障手術における新しい切開法を発表してさらに上位の賞である「白内障手術部門賞」を受賞しました。

2014年度米国白内障屈折矯正手術学会(ASCRS)で2度目の受賞!

米国白内障屈折矯正手術学会(ASCRS)が本年4月25日より29日まで米国ボストンで開催されました。
本学会は世界的に権威ある眼科学会の一つであり、世界中から眼科医が集まり最新の治療法などについて活発な議論が行われます。
2012年度の本学会においては、太田俊彦眼科教授が白内障手術における新しい眼内レンズの固定方法を発表して「新術式賞」を受賞しました。
今年度は松崎有修眼科助手が、外傷により従来の方法では治療困難な眼に対する新しい治療法を発表して再び「新術式賞」を受賞しました。

2013年度米国眼科学会(AAO)で「Best of Show賞」を受賞!

太田俊彦教授が2013年10月に米国シカゴで開催された世界で最も権威ある米国眼科学会(AAO)で新術式を発表して「Best of Show賞」を受賞しました。

2012年米国白内障屈折矯正手術学会(ASCRS)で「新術式賞」を受賞!

太田俊彦教授が2012年4月に米国シカゴで開催された米国白内障屈折矯正手術学会(ASCRS)で白内障手術における新しい固定方法を発表して「新術式賞」を受賞しました。

第35回日本眼科手術学会学術総会で「ファイザーアワードグランプリ」を受賞!

太田俊彦教授が2012年1月に名古屋市(名古屋国際会議場)で開催された第35回日本眼科手術学会学術総会で新術式を発表してファイザーアワードのグランプリを受賞しました。