診療科心臓血管外科

Cardiovascular Surgery

概要

心臓血管外科は心臓、大動脈と末梢血管などの循環器疾患に対して外科治療を行う診療科です。循環器治療の進歩はめざましく、その分野は手術手技から人工臓器の開発、血管内治療から再生治療など多領域に及んでいます。私たちのチームでは可能な限り多くの治療選択肢を実戦配備し、それぞれの診療の質を高めることで良好な診療実績と成績を維持して参ります。

2020年12月より診療責任者の梶本 完を筆頭に心臓血管外科のチーム編成が一新されました。私たちの技術、知識と精神は順天堂医院にて長きに渡り培ってきた優れた実績に基づくものであり、これまでも世界トップクラスの医療を提供して参りました。患者さん一人ひとりにとって神の手となれるような外科医チームとして、この静岡県東部地域の皆様の健康長寿に役立てるよう精一杯取り組んで参ります。

主な
施設認定

  • 心臓血管外科専門医認定機構基幹施設
  • ステントグラフト実施施設(腹部大動脈瘤・胸部大動脈瘤)
  • 下肢静脈瘤に対する血管内焼灼術実施施設

特色

近年増加している弁膜症に対しても最先端の治療を行っております。特に小切開や内視鏡で行う低侵襲心臓手術(MICS;minimally invasive cardiac surgery)を積極的に行い、順天堂大学関連施設の優れた成績を維持しながら低侵襲化に取り組んでいます。こうした低侵襲心臓手術(MICS)は術後の更なる早期回復が可能となるだけでなく、審美的な利点も享受できます。ご高齢の患者さんや透析患者さんに増加している大動脈弁狭窄症に対しては従来の大動脈弁置換術に加えて、低侵襲心臓手術(MICS)や迅速な移植が可能であるsutureless弁を使用することで、術後の早期回復や合併症予防に力を入れています。さらに2021年には循環器科と共同して開胸を必要としない経カテーテル大動脈弁治療(TAVI: trans-catheter aortic valve replacement)を開始する予定です。僧帽弁閉鎖不全症に対してはMICSや内視鏡下で行う、自己組織を温存する弁形成術を第一選択としております。またロボット手術認定医が着任したことからDaVinciを用いたロボット補助下心臓手術の準備を行っています。

虚血性心疾患の根治術である冠動脈バイパス術ではこれまでの豊富な経験を元にevidenceの確立に貢献して来ました。術後合併症の低減と長期予後の改善を見据えた質の高い治療を心がけております。またほとんどの冠動脈バイパス術は人工心肺を用いないオフポンプ手術で行っており、病態に応じて小切開での冠動脈バイパス術(MICS-CABG)も行っています。

若年者の大動脈基部拡張症やMarfan症候群に対しては自己弁温存大動脈基部置換術を第一選択とし、若年患者さんにおける長い遠隔期予後を考慮した適切な治療を行っています。

大動脈疾患に対しては従来の外科治療手術による人工血管置換術、大きな皮膚切開が不要な血管内治療であるステントグラフト内挿術および、それらを組み合わせた治療を行っています。大動脈疾患に対する外科治療と血管内治療はそれぞれに良い点と劣る点がありますが、私たちの豊富な経験から患者さん一人ひとりに合わせた最適な治療方法を選択いたします。高齢化と重症化が進む中で、いずれの治療方法もその診療レベルは高く成績は良好です。大動脈解離や動脈瘤破裂などの緊急症例を含めて対応しております。

対象疾患

虚血性心疾患

  • 狭心症
  • 心筋梗塞
  • 心室中隔穿孔

心臓弁膜症

  • 大動脈弁狭窄
  • 大動脈弁閉鎖不全
  • 大動脈弁輪拡張症
  • 僧帽弁狭窄
  • 僧帽弁閉鎖不全
  • 三尖弁閉鎖不全

大動脈疾患

  • 大動脈瘤(腹部・胸部・胸腹部)
  • 大動脈解離

成人先天性心疾患

  • 心房中隔欠損症
  • Valsalva洞動脈瘤
  • 心室中隔欠損症
  • 三心房心

心臓腫瘍

  • 良性心臓腫瘍
  • 悪性心臓腫瘍

末梢動脈疾患

  • 閉塞性動脈硬化症(重症下肢虚血)

静脈疾患

  • 下肢静脈瘤

虚血性心疾患(狭心症・心筋梗塞)

虚血性心疾患とは、心臓を栄養する血管(冠動脈)が細くなったりつまったりすることによって、心臓に十分な血液が供給されなくなることによって生じる病気です。原因としては、動脈硬化や冠動脈の痙攣、血栓等による塞栓等が挙げられます。治療として、内服治療、カテーテル治療、手術があります。虚血性心疾患に対する手術方法を以下に説明します。

冠動脈バイパス術
冠動脈が狭窄・閉塞すると心筋に血液が十分に供給されなくなり、狭心症や心筋梗塞をおこします。
その名の通り、冠動脈の狭いところを治療するのではなく、バイパス(迂回路)を作り、血流をよくする根治的な手術です。
心拍動下手術について

私たちのチームでは、冠動脈バイパス術を行う際に、心臓を拍動させたまま、手術を行う方法を第一選択としています。この手術には以下のような優れた点があります。

  • 合併症が少ない
  • 心臓への負担が少ない
  • 全身への負担が少ない
  • 回復が早い

最終的には手術中の判断となります。

左室瘤切除術
心筋梗塞で瘤のようになった部分を切除して心機能の改善や血栓症の発生を予防する手術です。
左室形成術
心筋梗塞後の拡大した心臓を縫い縮めて心機能を改善する手術です。

弁膜症

心臓には4つ弁があり、血液が効率よく、一方通行で流れるように働いています。この弁が何らかの原因(リウマチ、先天性、感染、心筋梗塞、心筋症、変性、加齢等)によりうまく働かなくなったものが弁膜症です。

きちんと閉じない 逆流・もれを生じる(閉鎖不全症)
きちんと開かない そこを通るためには余分な力が必要となる(狭窄症)

急に発症する場合とゆっくり発症する場合があり、ゆっくり発症した場合、自覚症状が乏しいこともあります。しかし、放置しておくと、心臓への負担がつづき、心機能が低下したり、心不全を起こしたり、不整脈(主に心房細動)を起こすことがあります。

弁膜症の手術について

壊れた弁を人工弁に取り替える手術です。
人工弁は下記の2種類あります。

  • 金属でできており、耐久性が優れています。
  • ワーファリンを毎日きちんと服用しなければいけません。
  • ウシ・ブタの弁や心膜でできています。
  • 耐久性は機械弁に比べると劣りますが、ワーファリンを継続して服用する必要がありません。
弁形成術
壊れた弁を修復し、自己の弁を温存する手術です。
主に僧帽弁閉鎖不全症、三尖弁閉鎖不全症に対して行います。
補強のため人工弁輪を使用します(人工弁と人工弁輪は全く別のものです)。
弁の損傷状態によっては形成術が困難なことがあります。
メイズ手術
心房細動を治す手術です。
高周波により心房細動の原因となる心臓内の異常な電気の流れを絶つ手術です。
心房細動の期間、心房の大きさ、心臓の状態によって、治癒率は異なります。
ワーファリン
血液の凝固成分を阻害することにより、血液が固まりにくくする薬です。
毎日きちんと内服し、1ヶ月に1度は、病院にて凝固検査(採血)を受け、薬の効果を確認する必要があります。
この薬が強く効き過ぎてしまうと出血しやすくなり、不十分だと人工弁や心臓内に血栓をつくり、人工弁機能不全や全身の梗塞症を起こすことがあります。
ワーファリンの効果を弱める納豆、クロレラは食べることができなくなります。
出血性の病気(胃十二指腸潰瘍、出血の多い痔、等)や慢性肝炎の方は服用を避けた方が良いと考えます。

大血管・末梢血管

大血管の病気には大動脈瘤、大動脈解離等があります。

大動脈瘤
大動脈瘤とは、動脈壁の構造が弱くなり、血圧に負けて壁が拡大(ふくれてくる)し、瘤になった状態をいいます。
原因としては、動脈硬化、高血圧、大動脈壁が弱い(体質、遺伝疾患等)、リウマチ、梅毒などの感染、大動脈解離等があります。
拡大がひどくなると(直径5cm以上)、破裂の危険があるため手術が必要になります。手術は拡大した大動脈を人工血管に取り替えたり、縫い縮めたりします。
大動脈解離
大動脈の血管の壁は、3層の膜によって構成されていますが、動脈硬化や遺伝性の病気などで動脈の壁の一部が弱くなることや、外傷等の物理的な損傷等によって、その膜の間がはがれてしまう病気です。血管の内側の壁がはがれてしまうと、臓器への血液の通り道がふさがれてしまい、様々な障害を引き起こします。また、壁が割れ新たにできた血流路(偽腔)は、壁が1層しかなく破裂の危険性があります。偽腔が大きい場合、痛みが持続する場合も緊急手術になることがあります。
手術は、裂けてしまった血管を人工血管に取り替えます。
末梢血管

末梢血管の病気の主なものとして、閉塞性動脈硬化症、バージャー病等があります。動脈硬化や血栓、血管炎等で下肢の血管が細くなってしまったり、つまったりすると、足の先まで血液が届きにくくなり、足(とくにつま先)が冷えてしまったり、痛くて歩けなくなったりします。手術は病気の部分の血管に対してバイパス手術等を行います。
また、足の静脈が瘤状に膨れあがる下肢静脈瘤も場合によっては手術が必要になる病気です。しかし、当科では人員・手術室の制約により心臓・大血管疾患の患者さんの治療を優先しており、申し訳ありませんが、現在は下肢静脈瘤に対する手術を行っておりません。

外来担当医表

急な都合により、情報を掲載できない場合がございますので、予めご了承下さい。
詳細は各科外来へお問い合わせ下さい。

教授
先任准教授
准教授
講師
赤字
女性医師
午前
1診

上川 祐輝

(初診兼)

(一般)

(9:00診察開始)

梶本 完

(初診兼)

(弁膜症・心臓大血管)

 

大石 淳実

(初診兼)

(一般・大動脈疾患)

午後
1診

梶本 完

(初診兼)

(弁膜症・心臓大血管)

小田 遼馬

(初診兼)

(一般)

小田 遼馬

(初診兼)

(一般)

医師紹介

准教授

梶本 完かじもと かん

性別
出身大学
帝京大学卒(2001年)

認定医・専門医など

  • 日本外科学会専門医・指導医
  • 心臓血管外科学会専門医認定医機構心臓血管外科専門医
  • ロボット心臓手術関連学会協議会 Da Vinciロボット心臓手術実施認定医

専門分野

  • 虚血性心疾患(オフポンプバイパス術))
  • 心臓弁膜症(低侵襲小切開心臓手術・MICS)
  • 胸部大動脈疾患

おおいし あつみ

大石 淳実

性別
職位
助教
出身大学
順天堂大学卒(2007年)

認定医・専門医など

  • 日本外科学会専門医
  • 心臓血管外科学会専門医認定医機構心臓血管外科専門医
  • 胸部・腹部ステントグラフト指導医
  • 経カテーテル大動脈弁留置術実施医(TAVI)

専門分野

  • 成人心臓手術
  • 大血管手術においては、カテーテルから開胸手術まで。
  • TAVI手術の相談のります。

かみかわ ゆうき

上川 祐輝

性別
職位
医師
出身大学
順天堂大学卒(2016年)

認定医・専門医など

  • がん診療に携わる医師に対する緩和ケア研修会修了

専門分野

  • 心臓血管外科

おだ りょうま

小田 遼馬

性別
職位
医師
出身大学
順天堂大学卒(2017年)

認定医・専門医など

  • がん診療に携わる医師に対する緩和ケア研修会修了

診療実績