診療科小児外科

Pediatric surgery

概要

順天堂医院(東京都文京区)小児外科・小児泌尿生殖器外科は、日本の医療機関で初めての「小児外科講座」として誕生しました。
以来、50年以上にわたって積み重ねてきた経験と知識を活かし安全に治療を行ってきました。 そして、それらを引き継ぎ当院でも2022年より小児外科診療が開始されました。 初年度の入院数は151例、手術件数は109例と静岡県東部を中心に広域から来院されました。
「もしこの子が自分の子どもなら、どのように診断・治療を行うか」を常に意識して診療します。

特色

小児外科は、赤ちゃんから中学生までの消化器、肝胆膵、泌尿生殖器、頭頚部、肺、縦隔、体表など幅広い領域を対象としています。 術後の痛みの軽減、早期回復を目指して、より低侵襲な内視鏡手術(腹腔鏡、後腹膜鏡、胸腔鏡、ロボット支援)を積極的に取り入れ、子どもに負担の少ない安全で優しい治療を行っています。 生まれたての新生児の先天性疾患に対しても迅速に対応し、安全で可能な限り侵襲の少ない治療を行っています。

主な対象疾患

子どもで手術が必要なあらゆる疾患を扱っています。(脳神経外科、心臓血管外科、整形外科の分野を除く)

  • 耳前瘻孔
  • 舌小体短縮
  • 正中頸嚢胞 など

  • 気胸
  • 漏斗胸
  • 先天性横隔膜ヘルニア など

お腹

  • 胃食道逆流症
  • 肥厚性幽門狭窄症
  • 腸閉鎖症
  • 腸重積症
  • 急性虫垂炎
  • 先天性食道閉鎖症
  • ヒルシュスプルング病
  • 直腸肛門奇形(鎖肛)
  • 臍ヘルニア
  • 臍帯ヘルニア・腹壁破裂
  • 胆道閉鎖症
  • 先天性胆道拡張症
  • 水腎症
  • 膀胱尿管逆流症 など

鼠径部・臀部

  • 鼠径ヘルニア
  • 陰嚢水種
  • 停留精巣
  • 肛門周囲膿瘍・痔瘻 など

外陰部

  • 包茎
  • 埋没陰茎
  • 尿道下裂 など

しこり

  • 精巣腫瘍
  • 卵巣腫瘍
  • リンパ管腫 など

その他

  • 各種の外傷
  • 異物誤嚥・誤飲

主な疾患

鼠径ヘルニア

子どもでは腹膜症状突起の開存が原因のことが多く、症状としては鼠径部や陰嚢の膨隆が特徴です。診察の際に症状が出ていないことも多いので、膨隆しているときの写真を撮っておくと診断に役立ちます。手術は、鼠径部の数㎝の傷で行う方法と、腹腔鏡を用いる方法があります。

鼠径部からの手術

ヘルニア嚢の高位結紮

腹腔鏡を用いる手術の傷
(右鼠径ヘルニアの場合)

急性虫垂炎

回盲部という小腸から大腸に移行する部位にある虫垂に炎症が起こった病気です。
症状としては右下腹部痛、発熱などを認めます。当科では病状に応じて緊急手術か、抗菌薬による保存的治療を行った後に待機的手術を行っています。手術では腹腔鏡を取り入れています。

胃瘻造設術、胃食道逆流に対する噴門形成術

口からの食事が困難な場合、胃瘻といって胃から栄養を投与できる通路を作成します。当科では、内視鏡と腹腔鏡を併用してより安全に胃瘻を作っています。
また胃から食道への食べ物の逆流を認める場合、逆流を防ぐための手術(噴門形成術)を腹腔鏡で行うことも可能です。

胃瘻造設後
チューブ型胃瘻が入っている

1-2か月後にボタン型胃瘻に交換

先天性胆道拡張症/胆道閉鎖症

子どもの顔や体が黄色くなる黄疸があり、お腹のしこりや痛みも訴える場合に先天性胆道拡張症を疑います。 また、生後数か月の赤ちゃんの黄疸や便が白い場合などに胆道閉鎖症を疑います。これらの病気は手術でしか治療ができず、患児の体格に応じて開腹や腹腔鏡での手術を行います。

先天性胆道拡張症に対する肝門部肝管空腸吻合術

胆道閉鎖症に対する肝門部空腸吻合術(葛西の手術)

腎盂尿管移行部狭窄、水腎症

尿の通り道のうち腎臓の出口が生まれつき狭くなることで、尿が通過しにくくなり水腎症を引き起こします。腎臓の働きが悪くなったり、腹痛や尿路感染症を引き起こすことがあり、その場合は狭くなった部分を切除し繋ぎなおす手術を行います。当科では、より侵襲の少ない後腹膜鏡やロボット支援下での手術も導入しています。

エコー検査での水腎症
腎盂腎杯の拡張がみられる

腎盂尿管移行部狭窄に対する
腎盂形成術

ロボット支援での後腹膜鏡下腎盂
形成術の様子

急性陰嚢症

精索捻転など急激に陰嚢が痛くなり、腫れや赤みを伴う状態を総称して急性陰嚢症といいます。特に、精索捻転とは精巣への血管がねじれて精巣に血液が行かないことで、精巣が腐ってしまうことがあります。早期に発見・手術を行えば精巣を守ることができますので、症状がある際はなるべく早く受診をしてください。

尿道下裂、埋没陰茎

生まれつき尿の出口が陰茎の先端よりも手前にあり、陰茎が曲がっている状態を尿道下裂といいます。また、陰茎が皮膚の中に埋まっているため小さく見える状態を埋没陰茎といいます。病状に応じた手術を行っています。

中間型(陰茎部)の尿道下裂

埋没陰茎

外来担当医表

急な都合により、情報を掲載できない場合がございますので、予めご了承下さい。
詳細は各科外来へお問い合わせ下さい。

教授
先任准教授
准教授
講師
赤字
女性医師
午前
小児科
診察室

【第1,3】

角田 洋介

(初診)

午後
小児科
診察室

瀨尾 尚吾

(予約)(一般)

中島 秀明 【第1,3,5】

(予約)(一般)

医師紹介

准教授

瀨尾 尚吾せお しょうご

出身大学
聖マリアンナ医科大学(2008年)

認定医・専門医など

  • 日本外科学会 外科専門医
  • 日本小児外科学会 小児外科専門医

専門分野

  • 小児外科全般
  • 新生児外科
  • 泌尿生殖器疾患
  • 消化管疾患
  • 肝胆道系疾患

なかじま ひであき

中島 秀明

職位
助教
出身大学
東北大学卒(2007年)

認定医・専門医など

  • 日本外科学会 外科専門医
  • 日本小児外科学会 小児外科専門医
  • がん診療に携わる医師に対する緩和ケア研修会修了

専門分野

  • 小児外科全般
  • 新生児外科
  • 泌尿生殖器疾患

つのだ ようすけ

角田 洋介

職位
医師
出身大学
香川大学卒(2022年)

認定医・専門医など

  • 新生児蘇生法「専門」コース インストラクター
  • がん診療に携わる医師に対する緩和ケア研修会修了

診療実績