緩和ケアについて

「緩和ケア」が当たり前の世の中になるように

平成18年にがん対策基本法が制定されました。その基本理念は、

  1. がんに対する研究の推進
  2. がん医療の均てん化の促進
  3. がん患者の意向

を十分尊重したがん医療提供体制の整備です。
これは、少しずつ改正されてきており、平成24年にはこの法律に基づき、がん対策推進基本計画が発表されました。
この計画の全体目標は、

  1. がんによる死亡者の減少
  2. 全てのがん患者とその家族の苦痛の軽減と療養生活の質の維持向上
  3. がんになっても安心して暮らせる社会の構築

が掲げられています。そして、その中でも重点的に取り組むべき課題として、「がんと診断された時からの緩和ケアの推進」が明記されています。この緩和ケアについて、厚生労働省は次のように定義しています。

『緩和ケアとは、病気に伴う心と体の痛みを和らげること』

ところが、現状はどうでしょう。がんを疑われて始まる精密検査、そして、がんと診断されてからの手術療法、放射線療法、抗がん剤治療など中には苦しいものもありますね。がんを治療する医師は、この憎たらしいがんをやっつけることに必死です。患者さんが治療のためにつらい思いをしていても、わからないこともあります。患者さんも、一生けん命治療をやってくれている医師に「苦しい!何とかしてくれ!」なんて言えば治療が中断するのではないかと不安で言えません。また、緩和ケアなんていうと「もう死が近づいた人のためにやる治療」と考えている人も多いと思います。ところが、今の医療では、かなりの部分まで、がんそのものや、治療によって起こってくるつらさを抑えることができるようになってきています。これが、現在の緩和ケアなのです。だから、「診断された時からの緩和ケア」と言われているのです。もちろん、まだまだできない部分もありますが、あまりにも辛かったら一度相談してください。

でも、誰に相談するのでしょうか?「主治医には言えないよなあ」と思う人も多いと思います。そんな場合は、がん治療センター内にある「緩和ケア室」で話を聞いています。相談を受けた看護師は、担当医師に報告し、必要であれば緩和ケアを担当するチームにも報告し、適切な対応を考えます。

最後に、がんと診断された方は、本ではなくインターネットを通していろいろな治療に関する情報を得ようとされる傾向があります。それは、インターネットのほうが最新の情報をくまなく見ることができると思われるからでしょう。確かに医療側から提供される情報だけでなく、同じがんに苦しむ患者さんの生の声をブログなどから得られる点もあるでしょう。しかし、これらの情報には、玉石混淆です。要注意です。がん治療や緩和ケアについてインターネットで検索される方は、緩和医療学会の緩和ケアネット や国立がん研究センターのがん情報サービス を参考にされるとよいでしょう。

緩和ケアサポートチーム

リーダー
三澤 恭平 助教
身体症状の緩和に携わる医師
  • 三澤 恭平(血液内科)
  • 岡崎 敦(麻酔科・ペインクリニック)
  • 谷津 翔一朗(循環器内科)
精神症状の緩和に携わる医師 桐野 衛二(メンタルクリニック)
看護師
  • 中村 佳代子(緩和ケア認定看護師)
  • 高島 信世(緩和ケア認定看護師)
  • 渡邉 美佐子(緩和ケア認定看護師)
薬剤師
  • 木下 史一
  • 星野 剛史
  • 柳下 昂太
公認心理師・臨床心理師 廣瀬 寧子
社会福祉士 荻島 康宏
理学療法士 河原 一剛
管理栄養士 荒井 瑠美

案内図